キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

動機づけ面接法(3)チェインジトーク

チェインジトークとは、クライエント自身が自身の行動の変化について語ることです。カウンセラー、コンサルタント、セラピストはそれを聞き逃してはいけない。きちんと聞き分ける必要がある。

チェインジトークはつぎの6種類があります。

●願望 変わることを望む発言

…したい、…したいと思う、…できたら良いのに

●能力 能力についての発言

…しうる、…できる、…できるかもしれない

●理由 なぜ変わりたいかという具体的な議論

…したら、…だろう、…のためには…が必要だ

●必要 変わる義務を感じている発言

…すべきだ、…せねばならない

●決意 変化の確実性に関する発言

…するつもりだ、…する予定だ

●行動に移す すでに試みた行動についての発言

…しました、…し始めています


願望、能力、理由、必要は、変化に向けた兆候がクライエントに現れ始めていることを示し、決意、行動にむけての予兆と考えることができます。

特に、願望、能力、理由、必要の発言には、クライエントの価値観についての手がかりとなるという点で重要です。そこを深く掘り下げていくことで、クライエントが深く心に抱いている、こうしたいという動機が明らかになり、行動変化への強い動機づけが促される可能性があるからです。


動機づけ面接法メモ(2) 両価性

両価性とは、どっちつかずの状態。

例えば、喫煙。

健康を害する恐れがあることは知っているけれど、やめられない。やめられない理由は、それが気晴らしになっていたり、考え事するときの習慣になっていたりするから。

動機づけ面接法では、クライエントが持つこの両価性の発言に注目します。

変化することは、クライエントにとっては現状の行動や生活習慣を変えることですが、一方で、これまでそのターゲットとなる習慣を続けてきたのはクライエントなりの何らかの理由があるはずです。

「タバコやめないと、今後、肺気腫になる可能性がありますよ」と言われても、クライエントにとっては、「そうかもしれませんが、それでもやめられない」理由がある。 


この両価性は、キャリアカウンセリングではどんな場面で出てきそうですかね?

「彼からプロポーズを受けたんですが、今の仕事も続けていきたい」

「母が脳梗塞で倒れ、今後介護が必要なんだけれど、仕事を辞めるわけにはいかない」

「雇用延長で会社に残ることにはなったが待遇が低くなることに納得がいかない」

「ある会社から内定をもらっているが、自分のやりたいことではない」

いろいろとあてはまりそうなケースはありそうですね。

状況や環境が変わったというケースもありますが、ただ、クライエント自身が何らか対処していく必要があることは共通点があります。そこで、決めるに決められない、変わらないといけないのはわかっているが変わりたくない、そういうクライエントに対して、どのように接していくか?その戦略が、動機づけ面接法の精神としてあげられる、協働的、喚起的、自律性の尊重だと考えられます。

具体的には、こちらからこうすべきですよと説得するんではなく、クライエントが自ら「こうしたいんです」と言えるようにすること。



動機づけ面接法 メモ(1) MI の精神

動機づけ面接法の根本的な対人援助の考え方を「精神」と呼んでいます。精神には3つあります。


(1) 協働的である

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CCとCLとは対等の立場で、問題解決に協働で取り組む。CCが専門家の立場からCLを一方的に指導はしない。


(2)喚起する

CCは、CLが持っているリソースを引きだす。知識や技術を一方的に提供しない。

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(3)自律性を尊重する

CLの変化したくないという気持ちも尊重する。命令や強制しない。

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これら3つの精神は、面談でCLとどう向き合うかを提示しています。ロジャーズの中核条件がカウンセリングのプロセスを現象として捉えているのに較べると、こちらは、面談に対する戦略だと考えられそうです。


面談スキルを高めるには…?

正直に言うと、キャリアコンサルタントの養成講習での面接指導やロープレだけでは、本試験でどう対応すれば良いか、途方に暮れていました。

私の場合、偶然にもGoogle検索で見つかったスカイプ先生の指導があって、なんとか、実技試験を受けることができたと感じています。

それは、絶対合格する自信ができたというものではありません。

むしろ、面談に対しての基本的な態度に気づかせてもらったというところが大きいのです。

特に、受容、共感、一致、その大切さに気づくことができたのは、スカイプ先生のおかげです。

面談スキルはまだまだ伸ばしていきたいし、極めていきたいと思います。


で、試験が終わって、解決志向アプローチとともに、興味をもっているのが動機づけ面接法です。

動機づけ面接法でも、クライエント中心アプローチと同じく、「伝え返し」を重要な基本スキルとしています。ただ、それだけでなく、多数の臨床例に基づき組み上げられた体系があり、医療現場を中心とした実践からフィードバックされてきた知恵が積み上げられています。

面談スキルを伸ばしていきたいという目的で、非常に勉強になるのが、次の本です。

動機づけ面接を身につける 一人でもできるエクササイズ集

動機づけ面接を身につける 一人でもできるエクササイズ集


体系的にスキルの説明に終わらず、そのスキルが逐語でどのように使われているかが、その効果と合わせて示されているので、非常にわかりやすい。
また、エクササイズによって、自分の理解を確認することができます。

動機づけ面接法は、キャリアコンサルタントの教科書にも載っていないことが多く、私もこれまであまり関心をもたないできましたが、キャリアカウンセリングとの共通点は傾聴だけではなく、面談の進め方や質問や情報提供などの他のスキルでも役に立つことが多いと思います。

ただ、この本が非常に役に立つとは感じますが、本質は、この本を使った勉強会などに参加するともっとためになるんだろうと考えています。

試験が終わって…

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試験が終わったあと、合格発表までの間は、いまいち調子が良くないというか、心理的バランスを崩したいるのではないかという気がします。

それまでと生活スタイルが変わったわけではない、とはいえ、どうも落ち着かない感じがずっとしているんですね。

結果はあまり気にしないように、と、考えているだけで、実際は、結果をだいぶ気にしているんでしょうかね?




面談の流れのパターンを考える

キャリアコンサルタント試験の論述、面接で、いろんなクライエントがいらっしゃいます。

その面接の流れをあらかじめ準備しておくには、以下の論文は参考になるなと思います。


今後のキャリアコンサルタントが 担うべき機能的役割とその質保証 

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2016/06/pdf/063-074.pdf




動機づけ面接法って?

動機づけ面接法 実践入門 「あらゆる医療現場で応用するために」

動機づけ面接法 実践入門 「あらゆる医療現場で応用するために」

  • 作者: ステファン・ロルニック,ウィリアム・R・ミラー,クリストファー・C・バトラー,後藤恵,荒井まゆみ
  • 出版社/メーカー: 星和書店
  • 発売日: 2010/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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動機づけ面接法の実践的なイメージをつかみたくて買いました。逐語の例が多いので、面談の流れはわかりやすいのではないかと思います。副題に医療現場への応用とあるように、取り上げられている例は、禁煙、アルコール中毒など、ヘルスケアが中心です。生活習慣病など健康行動の変容にこの面接法は使われていることが多いのでしょう。確かに他の本でも健康行動をタイトルにつけた本が多いですね。
認知行動療法やナラティブも医療現場で使われることが多いと思うのですが、これらはどちらかというと、うつ病解離性障害など、心療内科で使われるイメージがあります。動機づけ面接法は、内科一般という感じでしょうか。
キャリアコンサルティングに参考になるという点では、「傾聴する」、「質問する」、「情報提供する」の3つのスキルはわかりやすいと思いました。
傾聴と質問は異なるスキルだという点、この認識は重要だと思います。そして、質問も情報提供も傾聴があってこそ効果を生むという点も重要だと思いました。
キャリアコンサルティングでは、自己探索や自己理解といったプロセスを非常に大事にしますが、それは動機づけ面接法でも同じです。また、自己決定にキャリアコンサルティングは重きを置きますが、それも動機づけ面接法でもそうです。
違いは、チェインジトークを引き出すという点を動機づけ面接法ではより明確にターゲットにしているということでしょう。その引き出すプロセスに、情報提供をきっちり組み込んでいることではないかと思います。
今後取り入れていきたいと思います。