キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

信頼関係を構築することはカウンセラーが責任を持って行う役割

カウンセリングにおいて、信頼関係はその土台となるものであり、効果的な支援のために不可欠な条件。だが、それだけでは十分ではない。

カウンセリングの非日常性は、周囲には開示できなかったり、開示しづらいことをアカの他人に話すということと始まりがあり終わりがあるという契約関係に求められる。

ふつう、会ったこともない他人に、自分のことを相談することはありえない。だが、カウンセラーとクライアントという役割関係のなかでは、家族にも友人にも話さないことが話題になる。クライアントがこのひとになら話そうという気にさせる、そういう雰囲気づくりがカウンセラーの役割である。クライアントが信頼感と安心感を抱き自分の話を進めるための場づくりにカウンセラーは注力する必要がある。そのための手段が傾聴であり、その目的はクライアントとの信頼関係の構築と維持である。

また、カウンセリングの目的がクライアントの自己成長にあり、その支援がカウンセラーの仕事だが、カウンセラーがクライアントの役に立つためには、クライアントの語りが十分に展開される必要がある。問題は何か、それは何が問題なのか、クライアントがカウンセラーに期待していることは何かを、カウンセラーが理解する必要がある。クライアントが話さない限りは、カウンセラーは手の施しようがない。繰り返しになるが、クライアントが語るためには、カウンセラーに対して信頼感、安心感をクライアントが感じている必要がある。

信頼関係は不可欠な条件ではあるものの十分条件ではないという理由は、それだけではカウンセリングの目的が果たせないからだ。

ロープレでの学び方

現役キャリアコンサルタントのロープレは、技法のレパートリーを間近に見れるいい機会ですね。

講師の方のロープレは先週初めて見せてもらったが、今日はティエーの方を見せてもらった。

場面はインテークで、技法としては「いいかえ」、「リフレクション」を主に使っている印象がある。質問はほとんど使っていない。2つの技法からクライアントの体験がより具体化されていくように感じた。


とはいえ、ロープレは誰がやっているのも勉強になる。


同じ受講生で、質問を巧みに使い、クライアントからまとまりのあるストーリーを引き出すひともいる。

言葉だけでなく、表情によってクライアントと波長を合わせるのが上手いひと。

仮説を立てながら、クライアントの反応を見て柔軟に切り口を変えていけるひと。


自分のロープレを振り返ると、どうも、じれったく感じることが多い。いまいち、クライアントの自己理解を促せていないように感じる。


次回、中間テストです。


マイクロカウンセリング復習しとこう。



体験学習と並行して考えたいこと

今、応用実習では、カウンセリングの体験学習の段階です。ここではカウンセラーとしての自己理解を進めることと自分のカウンセリングでのクライアントに対するかかわり方がテーマであり、キャリアコンサルティングのプロセスに一貫する基本姿勢を身につけることが目的だと理解しています。

確かに、全体観に立つとキャリアコンサルティングがカウンセリングだけで解決することではなく、社会環境や労働市場や労働政策の理解、キャリア心理学や産業組織心理学などのキャリア論の知識も必要だし、具体的なスキルとして履歴書、職務経歴書などの書類作成や面接などの指導スキルも身につける必要があります。

さらに、キャリアは職業だけにとどまらず、ライフキャリア、つまり、中長期的なスパンで、ひとの生活空間全体を視野に入れて考えたとき、養成講習の範囲だけにとどまらない拡がりが見えてきます。

結構、気が遠くなるような話ですね。

ただ、この拡がりのすべてが試験範囲ではない、ということは知っておいていいと思います。

むしろ、養成講習で学ぶことをベースにしつつもそれを超えて自分ができること、やりたいことをあらためて見つめ直す。その時期がいずれくる。そういうことからいえば、今はキャリアコンサルタントとしての自分をどうやって売っていくか、そのためにできること、できないことを確認している時期だともとらえられそうです。


応用実習の実際

ロープレは楽しいな。

やはり、小芝居が好きなんだなあ。

と自分で自分の嗜好を感じます。

応用実習に入ると、ロープレなどワークが中心になります。

コンサルタントとクライアント、オブザーバーの役割を順番に演じていくのですが、クライアントをやるときは、ときどき困ることがある。相手役のコンサルタントに合わせて話題提供するような器用な真似はできないし、まるっきりのウソも申し訳ないと思いつつ、時間も限られているため、そのばでとりつくろうようなことをします。まあ、練習台だからなんでもいいやといい加減な性格がここで出てしまうのですが、中には真剣に今自分が抱えている不安を話される方もいて、そんなときは、なんか、謙虚ではない自分が嫌になったりするのです。

ロープレは体験学習のひとつなので、正解はないと思います。実際、うまくできない、失敗だという点が見つかれば見つかるほど、学びは大きいのです。

確かに、キャリアコンサルタントの試験を考えると正解があるようにも感じないわけではないのですが、だから、なおのこと、応用実習のなかで、改善するところが見つかる方がいいのです。


今日の改善点は?



セルフモニタリングとカウンセリングの訓練

認知行動療法で用いられるセルフモニタリングは、自身の日常行動や思考、感情を意識的に観察し記録することてある。どんなときにストレスを感じ、そのときどんなことが思い浮かぶのが、であったり、あるひとの言葉や態度に対し自分はどんな反応をするのか、といったことを意識化するための手法である。

セルフモニタリングを通じて、自分が知らない自分を知ることが期待できる。ジョハリの窓でいう未知の自己を知るための方略とも言える。

カウンセラーはクライアントに対して意図的なかかわりが求められるが、そのためにはカウンセラーが自身の態度や行動、感情の動きを自覚しておく必要がある。自身の傾向、クセを知るだけでなく、それが対人場面でどういう結果を引き起こしやすいのか、知っておかなくてはいけない。

セルフモニタリングはその訓練としても取り入れることができるだろう。


カウンセリングでのかかわり

カウンセリングはクライアントの自己成長、自己実現を目的とする。なので、カウンセラーのクライアントへのかかわり方もその目的に適うものである。この目的を持つということがカウンセラーのかかわり方が意図的であるという意味である。つまりカウンセラーの行動はクライアントの自己成長、自己実現を目的に置き、それを意図してクライアントにかかわる。

ところで、ひとはそのひと自身として独自の世界観を持っている。アドラーの言葉を借りれば、個人はそのひと自身の経験によって独自のライフスタイルを持っている。カウンセラーはクライアントの独自の世界を受け止め、感じとり、理解を示す。また、ロジャーズによれば、カウンセラーのそのような態度をクライアントもまた感じとることで、両者に心理的接触が現れる。

共感とは、カウンセラー、クライアントそれぞれの心理的な体験過程が、カウンセリングにおいて相互に折衝し合うことだと考えられる。

カウンセラーも、クライアントも、相手の内的な心的過程に直接触れることはできない。そのため、言葉、非言語行動を手がかりとして、相手の心的過程をトレースしようとする。

カウンセリングが目指すのは、クライアントの自己成長、自己実現なので焦点はクライアントの主訴に当てられる。だが、心理的な体験過程では、クライアントもまたカウンセラーに応答しようとする。カウンセラーはクライアントの思考や感情に焦点をあてたかかわり方をして、クライアントが自身の思考や認知に焦点を当てられるよう勇気付けていこうとする。それがうまくいけば、クライアントの自己への気づきから自己理解が進んでいくことが期待できる。だが、カウンセリングではクライアントの応答がカウンセラーの期待に応えようとすることもある。

カウンセラーは自身の好奇心や理解のために質問すべきではないし、クライアントが最初に提示する主訴を鵜呑みにしてはいけない。また、カウンセラーはクライアントに巻き込まれてしまってもいけない。

カウンセラーはカウンセリングに臨もうとするとき、自分自身のライフスタイルを把握しておく必要がある。カウンセラーは先ず自分の自己理解をする必要がある。とはいえ、それは自分の独自の世界観を確立することではない。むしろ、自身のライフスタイルを絶えず更新し続ける意志を持つことだ。そのさなかにあって、自分は変わり続けるという自覚を持っていること、それを自然体として受け止めている状態、それが自己一致なのではないだろうか。

経験代謝について

JCDA関連の養成機関のため、キャリアカウンセリングの基礎として経験代謝について教えられる。

基礎実習でも、経験代謝については触れられていたが、応用実習では演習を通じて体感的に身につけていくことが期待される。

カウンセラーによるかかわりによって、クライアントは経験の再現から意味を見出し、その意味の実現に向けて行動していく。

この意味は自己概念と言い換えられる。クライアントは、経験の再現によって自己理解を深め、自己概念を見いだす。


このプロセスじたいは、ロジャーズの自己一致である。ロジャーズは、クライアントはカウンセリングによって、自己不一致の状態から自己一致の状態へ変化すると述べている。そのための条件としては、自己一致していること、クライアントを受容すること、共感的理解をとることをカウンセラーに求め、さらにそのようなカウンセラーの態度がクライアントに伝わっている必要がある。

ロジャーズのいうカウンセリングの条件は、経験代謝にもカウンセラーに求められる態度である。また、経験代謝は、自己概念の成長を目指すことを目的としていて、そこにもロジャーズの考えに近い。


ところで、ここで言われている経験は、ごく日常の出来事であってもよい。どんな出来事であろうと、出来事じたいに意味があるのではない。大事なのは、その出来事をクライアントがどのようにとらえているか、クライアントが出来事に対して抱く考えや気持ちを含めて、それが経験なのだから。

認めたくない事実、なかったことにしたいこと、目を背けたくなること、そのような出来事に目を向けることは不安を喚起することにもつながる。だが、そうした出来事を直視することから学びが生まれる。とはいえ、直視するには相応のエネルギーが必要だろう。不都合な事態にあっても、それを自らなんとかしようとする場合、ひとは当事者意識をもっている。逆にいえば、当事者意識がないと、その出来事は自分が対処する出来事にはならない。他人事である。経験代謝は、他人事としてとらえている出来事に対して、当事者意識をもって取り組むことを促す。他人事と自分事を分けるのは、当事者意識の強さではないかと思われる。それを強めることが経験代謝に期待されることだと思われる。


勝手にいろいろと思考を巡らせたが、経験代謝はJCDAが提唱しているものである。この点は決定的に重要だと思われる。つまり、これはキャリアカウンセリングの理論であって、カウンセリングの理論ではない。キャリアカウンセリングの実践のために考えられたものであり、キャリアカウンセリングにはカウンセリングや心理療法とは異なる独自の版図がある、ということになる。ただし、経験代謝も、実践のなかで整理されてきたものである。経験の再現から意味の出現、意味の実現というプロセスを辿ることができるのであれば、どんな技法を使ってもよい。エンプティチェアでも、ミラクルクエスチョンでも、コラム法でも、何を使おうが制限はない。ただ、経験代謝のサイクルを意図し、クライアントの自己概念の成長が促されるかどうか、そこが問題。