キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

学科のカウンセリング理論を学ぶ意味

キャリアコンサルタントの講座では、カウンセリング理論がカリキュラムに組み込まれています。なぜでしょうか?

そもそもが、という話なのかもしれませんが。

精神分析、行動分析、ロジャーズ、論理療法、認知療法、現実療法、ゲシュタルト療法といろいろな理論を学習するわけですが、これ、なんか意味あるんでしょうかね?

もちろん、何かしらの意図があって、カリキュラムに組まれているはずですが、どんな意図なんだろうか?

厚労省が出している表を確認すれば、その意図は意図として確認はできます。

これはカウンセリングに限らず、他の分野にも共通するのですが、私は、なぜ、これを学ぶのかという腹落ちを大事にしたいと考えます。このことは、特にキャリアコンサルタントを始め、ファイナンシャルプランナーでも、社労士でも、資格取得の学習をするときに非常に大事なことだと思います。

腹落ちしていれば、つまり、これを学ぶ理由が納得できていれば、より効率的に学習は進むし、また、記憶の定着や知識の応用力も違ってきます。

腹落ちしていないと、なかなか頭には入らないし、応用が効きません。

キャリコンの学科試験は択一式です。択一式だからこそ、知識の応用が必要になります。また、択一式だからこそ、ちゃんと整理して、系統的に記憶しておく必要があります。


厚労省の意図を理解しておくに越したことはありませんが、腹落ちするというのは自分にとってという視点が不可欠です。


さて、では、カウンセリング理論を学ぶ理由は何でしょうか?

理由は1つではありませんし、だれにとっても正解だという答えはありません。もちろん、試験に受かるためという答えもあっていいのです。ただそれ以外にありませんか?

キャリコン目指して1年経ちました

ちょうど一年前の今日、私はキャリコンの養成講座に申し込みました。

http://amq87.hatenablog.com/entry/2016/06/26/152818


1年経ったのですね。


私が選択したのが、基礎は通信、応用は通学という形でしたが、1年勉強してたんですね。


なかなかクラスにも空きがなく、

という感じで。


いよいよ、来週、発表ですね。



動機づけ面接法(8) 3つの要約

要約はクライエントの話をまとめて伝え返すことです。
マイクロカウンセリングで、要約が役に立つとされるのは次のような場面です。
1 面接を始めるとき
2 面談を振り返って、何をはなしているのかを明確化する
3 スムーズに話題を変える

技法としての要約は伝え返しに含まれます。それはクライエントに理解の確認を求めることです。要約は、コンサルタントがクライエントの話をこのように理解したが、そこに見落としやズレはないか、見落としがあれば補ってほしい、ズレがあれば修正してほしいとクライエントにお願いします。
伝え返しも、要約も、クライエントに対する共感を伝える手段です。

動機づけ面接法でも、要約は面談を進めて行く上で、また、面談にメリハリをつけるという意図でも非常に重要な技法です。ここでは要約は、その意図により3つに分けられます。「集める」、「繋ぐ」、「移行期」です。
クライエントの言ったことを拾って、まとめて返すのが「集める」。自己探索の過程で使われ、クライエントがより自己探索を進めていくのを助けます。
「繋ぐ」要約は、クライエントが話したことの関連性に着目したものです。
「働きたいという気持ちはあるんですね。同時にまた子どもと少しでも長く一緒にいたいという気持ちも強いんですね」
「移行期」の要約は、マイクロカウンセリングでいう、スムーズに話題を変えると同じですね。

キャリアコンサルティングの流れでも、クライエントの主訴の確認は要約を使います。ただ、それ以外でも、要約を適切に行うことで、コンサルタントだけでなく、クライエントにとっても話を整理するのに役立ちます。

動機づけ面接法(7) 自己効力感

動機づけ面接法では、自己効力感を非常に重視しています。「4つの一般原理」のひとつに「自己効力感を援助する」と挙げられていることからもそれは確認できます(『動機づけ面接法 基礎・実践篇』、p.53-54)。

自己効力感は、端的に言えば、ある行動に対しての「自信」のことです。

「この問題集をやり通せば、確実に試験に合格できるだろう」と分かっていても、「この問題集をやり通せるかどうか、自信がない」のであれば自己効力感は低い。逆に「やり通せる自信がある」のであれば自己効力感は高い、ということになります。そして、効力感が高いほど、その行動をとる可能性は高くなります。

バンデューラは、この自己効力感に影響を与える要因として次の4つを挙げています。①遂行行動の達成、②代理的体験、③言語的説得、④情動的喚起。

①は達成した経験のある行動であれば、自信を持っているだろう、②はあいつにできるなら自分にもできる、ということですね。③は誰かから、あなたならできると言われその気になる、④は気分的高揚でしょう。

 

カウンセラーが直接的にクライエントを説得することはしません。というより、そうした関わりはかえって逆効果になると動機づけ面接法では注意されています。ただ、クライエントを信じ続けることがクライエントの自己効力感に良い影響を与えるとされます。

 

面談イメージとスキル


キャリアコンサルティングでも、ロジャーズのクライエント中心療法が強調されることが多いのですが、私は正直、そこにずっと違和感があり、最近、やっと整理がついてきたと感じています。

だって、キャリアコンサルティングでは、意思決定や方策の実行などがプロセスとして求められますが、クライエント中心療法にはそんなものはありません。


ロジャーズは、いわゆる、受容、共感、一致をクライエント中心療法の特徴だと言ってはいないことをあらためて再確認したこと。そして、動機づけ面接法なり、解決志向アプローチなり、その他カウンセリングやサイコセラピー一般で、インテークでは傾聴が非常に重視していること。

この2点の気づきから、だいぶ自分の中に腹落ちしてきました。

そこで、動機づけ面接法や解決志向アプローチ、あるいはナラティブアプローチなどを見ていくと、ロジャーズの中核条件を軸に、キャリアコンサルティングのプロセスに沿った形で、いろいろなスキル、技法が使えそうだと言う気がしています。

面談のイメージそのものは変わらないのですが、そこでどのようにスキルを展開していくかで、試しに整理して見ました。


f:id:amq87:20170623093102j:plain


面談は、コンサルタントのクライエントに対する全面的な好意的関心によるかかわりから、良好な人間関係が出来上がる、このようなプロセスを軸に展開されます。

そこで、コンサルタントに促されて、クライエントが存分に語ることで、クライエントのなかで、自分がほんとうに悩んでいること、困っていることが何なのかが次第にはっきりしてくる。

それを上記の図では、「主訴」と表現しています。

この主訴はクライエントが腹の底から相談したいことですが、一方、問題はコンサルタント視点でのクライエントの問題です。

それを共有したうえで、どうしようかという方策を考えます。

このような面談をすすめていくなかで、コンサルタントが繰り出す技法をまとめると、つぎのようにまとめられます。

f:id:amq87:20170623093206j:plain


1つ1つの技法は、あらためて書きますが、中心となるのは、促す→聴く→伝え返すの繰り返しです。

この間、ずっとクライエントに焦点を当て続けていきます。

クライエントの話だけではありません。

言葉も含め、表情やしぐさなど、つまるところ、クライエント全体に温かく、意識を集中させます。

傾聴はクライエントを理解するためにやる。

そこに全身全霊を傾ける。

基本はそこにあるんじゃないかなあ。


河合隼雄 「こころの処方箋」

面談について頭を悩ませたときに、河合先生のこの本はオススメです。

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)


技法を意識しすぎるとかえって、動けなくなるのですが、この本は、そんな小手先に囚われた意識を吹っ飛ばしてくれます。

人を理解することを命懸けの仕事と言い切る先生に学ぶことはたくさんありますね。
どこまで自分は腹をくくって、クライエントと面談できるのかが問われている気がします。
もちろん、ヒントや示唆は面談だけではないのですが。

キャリアコンサルティングとロジャーズ

カウンセラーとしての基本的態度としてロジャーズの中核条件があげられることが多く、それはキャリアコンサルタントも例外ではありません。
ただ、これがかえってキャリコン志望者を悩ませているのではないかと感じます。
私自身、それで、なんか宙ぶらりんな状態でした。
「パーソンセンタードカウンセリングの実際」を読むと、その宙ぶらりんとなる理由がよくよくわかってくるような気がします。
ロジャーズの言っていることはそんな簡単なことではないと言うのがよくわかります。
ある意味、自分以外には、何も持たないということではないだろうか?そんな気がします。
数あるカウンセリングのなかでも、ロジャーズは最も習得が難しい。


パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開

パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開