キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

面談イメージとスキル


キャリアコンサルティングでも、ロジャーズのクライエント中心療法が強調されることが多いのですが、私は正直、そこにずっと違和感があり、最近、やっと整理がついてきたと感じています。

だって、キャリアコンサルティングでは、意思決定や方策の実行などがプロセスとして求められますが、クライエント中心療法にはそんなものはありません。


ロジャーズは、いわゆる、受容、共感、一致をクライエント中心療法の特徴だと言ってはいないことをあらためて再確認したこと。そして、動機づけ面接法なり、解決志向アプローチなり、その他カウンセリングやサイコセラピー一般で、インテークでは傾聴が非常に重視していること。

この2点の気づきから、だいぶ自分の中に腹落ちしてきました。

そこで、動機づけ面接法や解決志向アプローチ、あるいはナラティブアプローチなどを見ていくと、ロジャーズの中核条件を軸に、キャリアコンサルティングのプロセスに沿った形で、いろいろなスキル、技法が使えそうだと言う気がしています。

面談のイメージそのものは変わらないのですが、そこでどのようにスキルを展開していくかで、試しに整理して見ました。


f:id:amq87:20170623093102j:plain


面談は、コンサルタントのクライエントに対する全面的な好意的関心によるかかわりから、良好な人間関係が出来上がる、このようなプロセスを軸に展開されます。

そこで、コンサルタントに促されて、クライエントが存分に語ることで、クライエントのなかで、自分がほんとうに悩んでいること、困っていることが何なのかが次第にはっきりしてくる。

それを上記の図では、「主訴」と表現しています。

この主訴はクライエントが腹の底から相談したいことですが、一方、問題はコンサルタント視点でのクライエントの問題です。

それを共有したうえで、どうしようかという方策を考えます。

このような面談をすすめていくなかで、コンサルタントが繰り出す技法をまとめると、つぎのようにまとめられます。

f:id:amq87:20170623093206j:plain


1つ1つの技法は、あらためて書きますが、中心となるのは、促す→聴く→伝え返すの繰り返しです。

この間、ずっとクライエントに焦点を当て続けていきます。

クライエントの話ではありません。

言葉も含め、表情やしぐさなど、つまるところ、クライエント全体に温かく、意識を集中させます。

傾聴はクライエントを理解するためにやる。

そこに全身全霊を傾ける。

基本はそこにあるんじゃないかなあ。


河合隼雄 「こころの処方箋」

面談について頭を悩ませたときに、河合先生のこの本はオススメです。

こころの処方箋 (新潮文庫)

こころの処方箋 (新潮文庫)


技法を意識しすぎるとかえって、動けなくなるのですが、この本は、そんな小手先に囚われた意識を吹っ飛ばしてくれます。

人を理解することを命懸けの仕事と言い切る先生に学ぶことはたくさんありますね。
どこまで自分は腹をくくって、クライエントと面談できるのかが問われている気がします。
もちろん、ヒントや示唆は面談だけではないのですが。

キャリアコンサルティングとロジャーズ

カウンセラーとしての基本的態度としてロジャーズの中核条件があげられることが多く、それはキャリアコンサルタントも例外ではありません。
ただ、これがかえってキャリコン志望者を悩ませているのではないかと感じます。
私自身、それで、なんか宙ぶらりんな状態でした。
「パーソンセンタードカウンセリングの実際」を読むと、その宙ぶらりんとなる理由がよくよくわかってくるような気がします。
ロジャーズの言っていることはそんな簡単なことではないと言うのがよくわかります。
ある意味、自分以外には、何も持たないということではないだろうか?そんな気がします。
数あるカウンセリングのなかでも、ロジャーズは最も習得が難しい。


パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開

パーソンセンタード・カウンセリングの実際―ロジャーズのアプローチの新たな展開

キャリコンの必読書

新時代のキャリアコンサルティング
─キャリア理論・カウンセリング理論の現在と未来

http://www.jil.go.jp/publication/ippan/shinjidai.html


この本、アマゾンでの取り扱いは中古のみですが、他のネット書店では扱っています。

必読書として手元に置いておきたい本です。

動機づけ面接法(6) 質問の連鎖という罠

質問をうまく使いこなせるかどうかは、面談スキルの腕をあげていく上で、とても大事だと思います。

昔、コーチングを少し勉強した時には、良い質問ができるかどうかという点にポイントを置いたロールプレイを経験しました。その経験が生きているのかどうかはわかりませんが、キャリコンのロールプレイで立て続けに質問をしてしまい、右往左往するハメに何度も陥りました。

私は、コレを質問の連鎖の罠と呼んでいます。この罠にハマってしまう人は結構多いです。

質問する。クライエントが答える。それにまた質問する。クライエントが答える。というやりとりを繰り返しているうちに、次はどんな質問をしようかと考えるのに精いっぱいで、クライエントの話をロクに聞かなくなってしまう。

たいてい、話が続かない面談はコンサルタントの方が質問を使いすぎるために起こります。この現象は閉ざされた質問の場合に、特に起こりやすいと言えそうですが、開かれた質問の場合でも起こります。

「そのとき、どんなことが頭に浮かびましたか?」という質問にクライエントがなかなか答えない。そこで、コンサルタントが焦ってしまい、「娘さんのこととか、考えませんでしたか?」と質問を継ぎ足してしまったり。


「動機づけ面接法を身につける」に、「質問は一般的に話の流れを止める作用がある」という一文を見つけました。

質問にはクライエントの語りに対してどこに焦点を当てるかで、話の流れを変える働きもあるのですが、よくよく注意をしないと、コンサルタント視点での話に持っていってしまうというリスクがあります。

面談で立て続けに質問すると、クライエントはその質問に答えればコンサルタントからのアドバイスが出てくるものと思ってしまう。それは「専門家の罠」というそうです。医者の問診もそうですね。ただ、そうするとコンサルタントとクライエントに上下関係が生まれ、クライエントはコンサルタントに依存してしまう。それは動機づけ面接法の精神、協働性や自律尊重にそぐわないということだそうです。


質問には要注意。

動機づけ面接法メモ(5)形式と技術

専門家がクライエントに対して取りうるコミュニケーションには、指示、見守り、案内の3つがあります。

指示は一番わかりやすいかもしれません。

「熱が出て、のども痛いのです」

「風邪のようですね。薬を出しますので、朝晩、食後に飲んでください」

指示には指導も含まれます。

「血糖値が高いようですね。食事制限してください」


見守りは、まさにクライエントをじっと見守る。感情を吐き出してれば、それをじっと見守る。


案内は指示と見守りの中間ですかね。

クライエントに寄り添いながら、少し先を誘導していくような、そんなイメージです。


場面場面で、この3つのスタイルを使い分けていく必要がある、というのですが、その一方で、3つの技術も場面場面で使い分けていく必要があります。

3つの技術とは、傾聴する、質問する、情報提供する、です。

見守りでは傾聴することが中心にはなりますが、質問するや情報提供するをしなくていいわけではありません。

案内や指示についても同様だと思います。

これら3つの形式と3つの技術の組み合わせはクライエントに合わせて、面談の流れに合わせて、使い分けていく必要があります。


3つの精神、4つの指針が戦略だとすると、3つの形式、3つの技術は戦術ですね。




動機づけ面接法(4)4つの指針

動機づけ面接法には、RULEと呼ばれる4つの指針があります。

R resist 気持ちに逆らって抑制する

U understand 理解する

L listen 傾聴する

E empower 勇気づけ励ます


Rは、特に両価性にどのように対処するか、ということだと思います。専門家がその立場で発言すればするほど、クライエントからの抵抗に遭う。例えば、無職で就活する気もないひとがいたとして、「いつまでもそれだとダメですよ、ちゃんと就活しましょう」といったところで、「そんなことはわかってますよ、でも…」と就活できない理由を並べられるか、押し黙ってしまうか。

キャリコンのロープレでも、自分の価値観で提案やアドバイスしたくなるという場面に会うことがありますが、そうしたくなる気持ちを抑えましょうというのが、このRだと思います。そこには心理学的な裏付けがあるんですね。ひとは自分自身の言葉を聞いて、それを信じる傾向がある、それによって現状維持により固執する。自己成就予言と言われる心理がそこに働く。

では、どのようにクライエントに接すれば良いのか?それが、ULEです。理解する、傾聴する、励ます。


クライエントが持つ考えや気持ちの両価性を受け入れ、理解し、クライエント自身が答えを見つけだせるように傾聴によって促し、その答えを実現できるようにクライエントを励ましていく。

このことじたいは、クライエント中心アプローチとあまり変わらないと思います。ただ、キャリコンの場合、特に参考になるのはRではないでしょうか。

ロジャーズの中核条件では、セラピストは何かの専門家である必要は求められていません。ところが、キャリコンはキャリアの専門家であり、医者は医療の専門家であったりするわけです。動機づけ面接法が、Rを指針にしている意味はそこにあります。わざわざ、専門家であることを否定するような指針をあげているのは、そこに専門家としての誘惑や義務感や自負などがかえってクライエントの変化の障害になるおそれがあるからです。

これは、解決志向アプローチが、クライエントは専門家であるという対等性を強調しているのと共通するところだと思います。

ただし、一方で、専門家は専門家としての役割や機能を果たさないわけにはいきません。それを期待されているわけですから。