キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

寄り添うことってどういうことか

河合隼雄は、どこかでクライアントとの向き合う態度を尋ねられて、

「ボーっと聴いてます」

と答えていました。

また、ある講演で、

「こころを開きながら何もしない、これは大変難しいことです」

と語っています。

クライアントとの関わりにおいて、カウンセラーあるいはセラピストの態度がとても大事だということはわかるのですが、実際にどういう態度なのか、具体的な姿を思い浮かべるのは至難です。

カウンセラーである限り、目の前のクライアントの役に立とうという気持ちで耳を傾け続けると言っても、その気持ちが強すぎても良くない。先回りしてもいけない。じっと、ときどき、相づちをうちながら、クライアントの話を聴く、と言っても、カウンセラーの頭の中では、いろんなことが走り巡っているはずです。人と向き合いながら、何も思い浮かばず、何の感情も湧き上がらないことはありえないことだと思います。退屈と感じることもそのひとつだでしょう。

カウンセラーが抱くクライアントへの距離感は、クライアントにも伝わっています。

クライアントはカウンセラーの態度によって話し方や話す内容さえ変えるのです。

なので、カウンセラーはクライアントと向き合っている時の自分の様子をしっかりと把握していることが必要です。場合によっては、あっ、このクライアントは嫌だな、とか、苦手だなと感じることがあります。話の内容によっては顔を向けながら、耳を無意識に閉ざしていることだってあります。それは人間だからあって当然なのです。

キャリアコンサルタントだから、どんな人が来ても受容しないといけない、共感しないといけないと思い込むのは非常に危ないと思います。思い込みが強すぎてしまい、クライアントの話にはまり込みすぎて立ち止まったまま、この先どう進めていこうかわからないということになったり、クライアントの言うがままに振り回されてしまうことにもなりかねないです。

クライアントには近づき過ぎるのもダメで、遠すぎてもダメという、適度な距離感を保つ必要があります。ただ、時間が経つにつれ、話の進み具合によっても、この距離感は変化します。しきりに自分の話を話し続けたあとで、すっとクライアントの気持ちがその場から離れていってしまうこともあります。クライアントはクライアントで、カウンセラーとの距離を測ってるんでしょう。ただ、そういう時にも、カウンセラーは、クライアントの気持ちをつなぎとめないとと焦ってはいけないと思います。ああ、離れていってるなあ、なんでだろうと考えつつ、自身の態度にも注意を向けてみる。

カウンセラーはカウンセラー自身のこころの動きをしっかりと把握している必要があります。クライアントと向き合いながら自分に湧き上がる感情や考えを受けとめるのです。自分のこころの動きに目を向けない、そういうカウンセリングは成り立たないのではないかと思います。

キャリアコンサルタントの養成講習で、クライアントに寄り添うということをよく聞きました。寄り添うというのは、クライアントと適度な距離感を保ち続けるために非常に大切な心がけだです。そのためにも、自分の歩調をクライアントに合わせていけるようにしておかないとと考えます。