問いかけと質問
- 作者: エドガー・H・シャイン,金井壽宏,原賀真紀子
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2014/11/26
- メディア: 単行本
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質問には、開かれた質問、閉じられた質問の2つがあります。
前者は「今日、どんな食事を取られたんですか?」というように、自由に答えられる形の質問、後者は「今日、食事は取られましたか」と、答えがはい、または、いいえの選択になっている質問。
どちらかというと、開かれた質問を使うことをキャリアコンサルタントの講座では推奨されることが多いと思います。それは、クライエントの自由な語りを促すためと理解していますが、これ、なかなか、言うは簡単なんだけど、わかってるんだけど、実際難しい、できない。
質問には、他に、直接的な質問、間接的な質問という分け方もあって、こちらは、「なぜあなたはそうしたんですか」と「そうするひとを見たらあなたはどう感じますか」の違いがあります。間接的な質問の場合、クライエントの行動や認知を客観的に考えてもらう効果があるようです。
開かれた質問、閉じられた質問、直接的な質問、間接的な質問。どれを使うにしても、そこに意図はあるのかが大事です。ただ、その意図がクライエントを理解したい、理解しないといけないという意図が強すぎると、質問が多くなってしまう気がします。すると、カウンセラーの一方的な理解したよということになりやすく、その理解がほんとうにクライエントが話したかったことなのかがわからない、ということになりかねません。
自分を振り返って見ても、応用実習のロープレでは、質問が多かったです。さらに、そのときには質問が多いと指摘されても、なんかびんとこなかったですね。だって、質問しないとわからないじゃないですか。
そう考えているところに、ヒントになったのはマイクロカウンセリングの教科書です。そこで、アイビィは質問を「会話への誘い」と書いています。
質問というとQ&Aを、つい、イメージしてしまうんですが、「会話への誘い」というのは、そのイメージとは違います。むしろ、「話してもらえますか」、「一緒に話しませんか」という形で、クライエントが話すきっかけになっているんですね。
そうだとすると、質問という言葉がよくないんではないかとおもうんですが、シャインの「問いかける技術」を見て、「問いかけ」という言葉に出会い、自分として腹落ちできました。
シャインは問いかけを4つに分けていて、純粋な問いかけ、診断的な問いかけ、対決的な問いかけ、プロセス志向型問いかけがあります。それぞれの詳しい内容は省きますが、アイビィの「会話への誘い」に絡んで注目したいのは「純粋な問いかけ」。これは、クライエントの話に集中する問いかけで、クライエントへの興味や関心から出てくる問いかけとされています。そこで必要なのは、「今ここでの謙虚さ」。シャインは相互依存という言葉で説明していますが、クライエントが話してもらわないことにはコンサルタントやカウンセラーは仕事にならない、その意味で、コンサルタントやカウンセラーはクライエントに依存している。クライエントが相談したいとコンサルタントやカウンセラーに依存しているのはそうなんだけども、クライエントに依存していることをコンサルタントもカウンセラーも弁えておかないといけない。そうすると、クライエントに謙虚にならざるを得ない。
純粋な、謙虚な問いかけが目指すのは、クライエントととの良好な人間関係をつくることだとシャインは言っています。そして、その良好な人間関係の上に、良質なコミュニケーションが活動するんだと。