河合隼雄の「無意識の構造」
- 作者: 河合隼雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1977/09/22
- メディア: 新書
- 購入: 4人 クリック: 41回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
「ユング心理学入門」を読んだのはいつだったか忘れたが、「無意識の構造」と同様に、元型や影、アニマ、アニムスなどユング心理学のキーワードはそこで読んだ。
無意識。それが意識へいろいろと影響を与えていることはフロイトやユングによって知られるようになった。フロイトは父性的、ユングは母性的と言われる。両者の違いは、フロイトがヒステリー、つまり神経症患者を扱ったのに対して、ユングは分裂症を扱ったからではないか?
忘れてはならないのは、フロイトもユングも臨床を通しての精神分析、分析心理学を構想したという事実だ。
「無意識の構造」は、読んでいると、それが書かれた時代状況と無縁ではないなと感じる。それは、その時代を生きるクライエントと対峙する、臨床という関係が先生の知のベースにあるからではないかと思われる。
整理するとすぐわかるが、アニマ、アニムスも非常に戦後の近代日本的だ。
かつて、教育ママという言葉があり、ママゴンという言葉があった。専業主婦という制度が確立し、核家族化が進行していく昭和40年代の状況が河合隼雄という臨床心理学者のエクリチュールにより映写されているのを懐かしく見る。