ライフデザインアプローチ
- 作者: マーク・L・サビカス,日本キャリア開発研究センター,乙須敏紀
- 出版社/メーカー: 福村出版
- 発売日: 2015/07/02
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
サビカス、よみすすめてますよ。
マニュアルは読み終わり、理論のほうもあと2章を残すところまで読み進めています。
以下、感想ですけど、
・翻訳には注意する必要がある。例えば、construct。理論では「構成」。マニュアルでは「構築」。訳語が安定していない。
・キャリア構成カウンセリングは、職業選択理論の活用も組み込んでいる。ホランドのRIASECはどちらでもしばしば触れられている。
・触れられているのはホランドだけではない。別記事にも書いたアドラー、フロイトにも触れている。サビカスは、既存の理論の使い方を示唆している。
・キャリアインタビューは、ナラティブに注目した構造面接の形式をとっているが、クライアントの内省を臨機応変に進めていくための質問を柔軟に行っていくことが求められている。
・インタビューでクライアントから聴き取ったことを、カウンセラーはアセスメントし、キャリアテーマを引き出し、ライフポートレートとしてまとめていくのだが、これは、結構な訓練を重ねる必要があると感じる。
・アセスメントのスキルを高めるために、文芸批評を読むことが勧められている。プロップが推薦図書に挙げられていた。物語をどのように読み解いていくのかについて理解を深めるには文芸批評は良い仮想トレーニングなのかもしれない。他には、バフチン、バルトも役に立つはず。
・日本で、物語に着目した臨床家といえば、河合隼雄。
・カウンセラーは、様々な言語表現に触れ、語彙を豊富にしておく必要がある。また、物語の構造を知っておくに越したことはない。
・ナラティブを扱うとはいえ、クライアントとカウンセラーにとって最も肝要なのは、関係構築がなされていること、つまり、クライアントに安心の場が提供され、それをクライアントが理解し、安心に感じていることが必要だ。とどのつまり、ロジャーズの共感的理解、受容、自己一致が、クライアントとの関係の基礎となる。
・インタビューでクライアントはメタファーによって、自己や職業興味などを表現する。メタファーはクライアントの個性を反映している。それはクライアントが何に捉われているか、どのような居場所を求めているのかなどを指し示す。あるいは、言いたくないこと、隠していること、触れたくないことを暗示している。メタファーを使うのは、自身でも直接踏み込んでしまうことが、何か災いをもたらすことを恐れるからだ。こころの中核部分に触れることは痛みが生じる。なので、メタファーという間接的な表現でラッピングしているのだ。
・キャリア構成カウンセリングは、サビカスの臨床経験から熟成してきた。