サビカスのライフデザイン・カウンセリング・マニュアル
買った。
新刊。
見た目、小冊子のような感じではある。
内容は、先に訳されたものと変わりはないが、監訳者の水野氏がまとめられているサビカス理論のポイントはとても理解に役に立つ。
グローバル化や情報技術の進化といった、ここ20年くらいの産業変化がサビカス理論を理解する前提であるという指摘はその通りだ。
他にも、押さえるべき指摘はいくつもあるが、サビカスの理論が、これまでのキャリア理論を、どのように活かすかということに着目した理論だということがわかった。
キャリア構成理論はホランドやスーパーの理論に取って代わるものではない。むしろ、新たな環境変化においては欠落しているところを埋め、これまでのキャリア理論を再配置するものなのだ。
新たな環境は、現代のキャリアを『境界なきキャリア』、『変幻自在なキャリア』として特徴づける。それは、終身雇用によって保障されたこれまでのキャリアとは違う。そのため、職業選択や職業発達も、これらの特徴を取り入れ、書き換えられるところがでてくる。少なくとも、ガイダンスやキャリア教育は、キャリアカウンセリングとは区別されるようになった。キャリアカウンセリングはキャリアカウンセリングとしての機能を持つ。クライアントが自身のライフコースを見いだし、それを生きることを支援する。それは、自己の発見ではなく、自己の創造であることには注意しておきたい。
プロジェクトとしての自己とも表現されるように、不安定、不確実な環境において、それを乗り切るには、核となるものが必要だ。それがナラティブアイデンティティということだが、われわれは、自己を意味づけると共に、社会への意味づけも行っている。と、考えるのが社会構成主義であり、現実は、それゆえ、構成されるものである。
サビカス ライフデザイン・カウンセリング・マニュアル──キャリア・カウンセリング理論と実践
- 作者: マーク・L・サビカス著,日本キャリア開発研究センター,水野修次郎
- 出版社/メーカー: 遠見書房
- 発売日: 2016/09/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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