キャリアコンサルタント試験合格体験記(7)スカイプで学ぶ クライエント中心療法を学ぶ
養成講座でのロープレは、受講生同士で行うことがほとんどでしたが、中間試験、修了試験の時だけは合格者の方がクライエント役を務め、試験に出てくるような話題で行いました。受講生同士で行うと、毎回ひとは違うようにはするものの、お互いがシロウトなので、何が良くて何がまずいのかが結局よくつかめません。ずっと講師やTAがついてアドバイスしてくれるものでもありません。
なので、私のクラスでは中間試験でのロープレは教室に戸惑いが充満していました。今まで触れたことのないような話題、予想つかないクライエント役の反応、コンサルタント役の受講生の応答に、焦り、迷い、不安が見事に現れていました。かくいう私自身、クライエント役にイマイチ入り込めませんでした。
中間試験で私がクライエント役からもらったフィードバックは手厳しいものでした。最初は聴いてもらっている感じだったが、途中から話しづらかった。ほんとうは上司の話がしたかった。
修了試験でも、その雰囲気はあまり変わりませんでした。このときは、前回と違い、私自身では、うまくやれたと思っていました。ただ、講師からのフィードバックは厳しいものでした。
修了試験が終わった段階で、私は途方に暮れていました。
3月末に養成講座を修了して、試験までの約2ヶ月、これからどのように試験対策をすすめていってよいのやら。
学科はたぶん大丈夫、と見込みは持ってました。過去問を解いて、合格ラインは超えていたため、後は苦手としている労働行政やキャリア教育の点数を取りに行くかいかないか、くらいに考えていました。そのため、実際の試験では冷や汗かきましたが。
問題は、やはり、実技です。
論述は何を書いていいのか、さっぱり見当がつかない。
面談は、それこそ、何をしていいのかもわからない、という状況でした。
そんな3月末から4月のころを考えると、実際、今回の試験結果がよく出せたなと感じます。そして、つくづく、出会ってよかったと思います。それが、今回、ご紹介するスカイプ塾です。
スカイプ塾ーキャリアカウンセラーCDAへの道を歩いて
http://m.skype-juku.webnode.jp/
私は4月に入塾しましたが、最初に驚いたのは登録して送られてきた資料です。ちなみに資料はファイル便で送られてきます。
面談虎の巻、ロープレの音声など。
面談をどうすすめていけばいいのかわからないと途方に暮れていた私には、これらの資料は非常に有難いものでした。ロープレの音声はそれこそ、iPhoneで何回きいたことか。
面談虎の巻は私のバイブルになりました。
ロープレは、スカイプで、一対一で行われます。私はスカイプも使ったことがなく、また、会ったこともないひとと話すというのは多少戸惑いもありましたが、塾長の温かみのある、朗らかな声で、「今どんな状況ですか?」と問いかけられたときには、すっと今自分が感じている試験に対する不安をそのまま打ち明けることができました。とても話しやすい。
そのあと、初めて塾長とロープレを行いましたが、そのとき「大丈夫だと思いますよ。受容ができているから」という一言はそれから試験までの私の気力の支えになりました。
正直言えば、この「受容」という言葉と自分のロープレが結びついてはいませんでした、この時。
もちろん、それがロジャーズの言葉だと知ってはいます。では、自分の応答のどこが受容と結びついているのがは、そのときはわからなかったのです。
(参考 このブログにも、一部書いていました。次の記事です)
塾長とは計4回、指導していただきました。
4回になったのは、4月に二回受けた後、私が仕事にかまけて間を少し開けてしまったためです。
その間、予約が埋まってしまっていたため、私が予約を入れようとしたときには学科試験の前日と実技試験の前の日しか空きがありませんでした。
その間、急遽、通っていた養成講座で開かれた面接対策に参加したり、スカイプ塾のブログをプリントアウトして読み込んだり。塾長のロープレの音声を繰り返し聴いたり。
養成講座の面接対策では、計8人。初日はひとり15分のロープレと5分の口頭試問を行い、講師や受講生からのフィードバックを受けるというものでした。そこで、私は面談虎の巻のとおりのロープレができ、結構、そこで調子に乗ったのです。ところが、2日目、現役の方を相手にしたロープレは、時間を使い切れず、うまくいきませんでした。
(参考 このときのロープレは過去記事にしています。)
3回目のロープレで塾長にこのときのロープレを話すと、いくつか質問いただきました。私が話した限りでのクライエントの状況から想定されることではあるのですが、私には何も答えられませんでした。そりゃ聞いてなければ答えられるはずがありません。
このときは、私が話したことを踏まえ、このときのロープレの題材を選んでいただいたのだと思います。調剤薬局に務める50代の女性。途中まで進み、立て続けに質問してしまい、私の応答がつまったところで、いったん中断。
「このひとの仕事、わかりますか?」
「調剤薬局に勤められています」
「調剤薬局で何してるんですか?」
「えーと」
「このひとの来談目的は何ですか?」
「娘さんがひとり立ちして、空の巣症候群のように気力が落ちた、ということでしょうか」
「気力が落ちて、どうですか?」
「・・・」
「仕事はどうですか?」
「そう、うーん、仕事は・・・」
「これはキャリアコンサルティングですよね。なので、仕事なんですよ。そこから離れることはないんですよ」
そして、冒頭のあいさつから再開です。今度は15分手前くらいまで進みました。クライエントは自分の辛さを具体的に話したあと、「だから、もう、しんどいんです」とため息をつきます。
「そうですか、しんどいというのはどんなお気持ちなんですか?」
「しんどい・・・!? しんどいはしんどいですよ」
ムッとしています。
そこから、応答は少し続きましたが、私は対応できず、中断です。
「なんで、しんどいってどういう気持ちなんですかってきいたんですか?」
私は答えられませんでした。
「ああ、このひとは私の話を聞いてないんだなと思いましたよ。気持ちが離れていきましたよ」
「しんどいという言葉はクライエントの自己概念と結びついた言葉だと思ったんです。クライエント独特の表現だと。なので、そこは焦点を当てようと」
「それは勉強のし過ぎです」
私は呆気にとられました。
「なんか、あるんじゃないかとか、深い心理が隠されてるんじゃないかとか、そんなの思っちゃダメです。むしろ、しんどいんですっていったら、しんどいんですねって、そのまま返せばいいんです」
クライエントの気持ちに寄り添うということは何度も養成講座でも説明を受けましたが、このときの塾長の説明はストンと腹に落ちました。
私はこのとき、確かに、クライエント独特の表現に焦点を当てましょうという公式どおり応答したのです。ただ、公式というのは、どんな時にも、どんな場面でも使えるものではありません。ときに、クライエントとの関係を一挙に壊してしまう場合もあります。
「クライエントから気持ちをはなさないことです。気持ちがくっついていたら、しんどいってどういう気持ちですか、って言葉は出てきません」
共感。そう、私に決定的に足りないところは共感だったのです。
(参考 このときのことは、そのころ、こんな風に書いていました。)
この3回目のロープレは、いま考えれば、試験1週間前、直前ということも塾長には配慮いただいたのだと思います。時間延長していただいたこともあり、私はにとっては密度の濃い、気づきの多い時間でした。
このとき、「クライエントの味方」という言葉もいただいたのですが、これはスカイプ塾の合格の声で書きましたので省略します。興味のある方は是非、こちらで確認してみてください。
何人かの方が合格の声をかかれていますが、タイトルに「クライエントの味方」とあるのが私の書いたものです。
塾長のアドバイスは、抽象的な概念ではなく、面談の場での応答に結びつく、具体的なものでした。
「話しやすかった」とか、「人柄がでていた」とか、感覚的なものではなく、「事柄しか焦点を当てていない」と指摘して終わるような単純なものではありません。
クライエントととの面談の流れの中で、何をしないといけないのか、何をしてはいけないのかをきちんと腹落ちさせていただきました。
私が何ができていて、何がまずいかを判断し、的確に指導していただきました。
スカイプ塾を経験された方が、おそらく、塾長から得たアドバイスはさまざまのはずです。それは他の方が書いている合格の声を読んでもわかります。受講生の一人ひとり、抱えている課題は違うのでしょう。それに合わせて指導されていることが、合格の声を読んでいると感じます。それがスカイプ塾の高い合格率につながっているのだと思います。
とはいえ、塾長の指導の根幹はとてもシンプルです。ただ、そのシンプルさは、勝手な推測ですが、何が通用して何が通用しないかを経験されてきたなかで、まとめられたものだと思います。
それが、塾長がブログで書かれている、「クライエント中心療法」なんでしょう。
「クライエント中心療法」は、ロジャーズに立ち戻ってみても、そのシンプルさは、数多ある心理療法のなかでも飛び抜けています。
ロジャーズの必要十分条件は、図にすると、こんな感じだと思います。
クライエント中心療法も、ロジャーズもキャリアコンサルタントの教科書には必ずでてきます。受容、共感、一致は、基本的態度として教わります。
ただ、面談での具体的な応答として説明できる方はあまりいないのではないかと思います。
たぶん、「共感とは、クライエントの経験をクライエントが感じているように理解しながら、それがあたかもクライエントが感じているようにということを失わない感じ方」とか、説明しろと言われれば、教科書に書いてあるような説明はできます。では、面談でどんな応答をすれば共感的理解なのか、それはなかなか教科書の説明ではわかりません。
ロジャーズの言っていることは、そもそも、一般的な説明が難しいんじゃないのかと感じることがあります。というのも、それはロジャーズ自身の体験に根ざしたものだからです(実際、ロジャーズの論文を読むと、ロジャーズ自身の経験から書き起こされているものが多いことに気づきます)。なので、一人ひとりが自分の言葉で理解するしかないんではなかろうか。受容、共感、一致も自分の言葉で表現できる。自分がやっていることについて、自分の言葉で、その意図を表せる。もちろんクライエント中心療法を自分の理解の仕方に合わせ的確に案内していただけるひとがいることは非常に心強い。
そして、「クライエント中心療法」は、やはり、キャリアコンサルタントを志すなら、基本として身につけておくべき必須のものです。
ブリーフセラピーや解決志向、ナラティブアプローチ、動機づけ面接、認知行動療法など、技法はいくつもあり、ついつい、もっと自分にあった技法があるんじゃないかと探してみても、あまり、役には立ちません。テクニックだけ覚えても、例えば、ミラクルクエスチョンやスケーリング質問を覚えても、それだけでは面談はうまくいきません。逆で、クライエント理解があって、それらの技法が活きるのです。これはまた、伝え返しという、クライエント中心療法の代表的な技法にも同じことが言えるはずです。技法は態度と一体でないと役に立たないどころか、クライエントを悩ませてしまうものでもあるからです。
私がスカイプ塾で学んだことで、最も大きいことは「クライエント中心療法」が基本ということを体感したことです。
結局、それが試験合格の一番の近道でした。
つらつら書いてきましたが、最初に書いたように、養成講座が終わった時点での私の実力はとても合格できるようなものではありませんでした。それこそ、クライエント中心療法は、まあ、理想で、そこを目指して頑張ろうということなんだろうけど、なかなかたどり着けないから、というような、なんか、昔の言葉でいえば、日和った考え方でした。それが考え方が変わりました。見事に。
この体験をただ、ただ共有したいと思い、この記事を書きました。
1人でも多くの方が、スカイプ塾に入塾され、「クライエント中心療法」を体験されることで、キャリアコンサルタント試験に合格されるといいなあと願っています。
キャリアコンサルタント試験の受験生の方は是非、一度、スカイプ塾への登録をオススメします。