キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

1on1はキャリコンだと思う

キャリコンは倫理規程にもある通り、多重関係は禁止されています。これは利害関係があると、クライエントの利益を損なう可能性があるから。とすると、上司が部下に対してキャリコンを行うのは難しいと考えられます。部下のキャリアを考え、転職した方がいいよと上司は言えるか?または、上司個人としては転職した方がいいと言いたいが、組織として、会社として考えた場合、そうは言えないということは多々あります。
会社と社員は基本的には利害関係にあるため、組織の一員という立場を離れて、なかなか、組織のヒエラルキーを無視して自由奔放に物申せるひとはなかなかいません。
では、上司は部下の成長に対して何ら手放しでよいかというと、そんなはずはありません。人材育成という点で、上司は部下に対しても、会社に対しても責任を負っています。
では、上司は部下にどのように関わっていけばよいのか? 

ヤフー社で実践されている1on1は、この課題に対して、実践上のフレームを提示しています。
1on1は経験学習を拠り所に、部下が経験から学びを持てるよう上司が支援するという形をとっています。
週に30分、その時間は部下のための時間。そこで部下が話すことを上司はまずは受け止め、共感を示すこと。例えば、部下が会社を辞めたいといえば、辞めたいとおもってるんだね、とまずは受け止める。そして、何かそう思うようなことがあったんですかと部下が思いを表せるように促し、実は、こんなことがと部下が語ることに、それは大変だったねと共感的理解を示す。
この本では、上司と部下の信頼関係の大切さが何度も強調されています。それは部下が上司の前で何でも話せる場を作ります。その場を作るのが上司の役目。この関係を上司をキャリコンと置き換えても何の違和感も感じません。
キャリコンでは、企業内コンサルタントはひとつのテーマではあるのですが、どちらかというとキャリア相談室や人事がイメージされることが多く、ラインマネジャーがキャリコンの機能を持つというのはあまり想定されていないと思います。ただ、産業組織心理学では上司の役割は非常に多様で、様々な役割を期待されています。特に、ダイバーシティを考えた場合、マネジメントも、単に部下に仕事を割り振る、指示するというだけでは済まないでしょう。部下がもつキャリアもひとそれぞれ違うのが当たり前です。社内で誰もが同じキャリアパスを目指す理由はないし、そもそもそんなキャリアパスはない、かもしれません。
むしろ、部下がどういうキャリアを描いているのかを上司は知っており、その実現を支援することが上司には必要なんだろうと思います。部下にとって上司は身近にいて、かつ、自分のキャリアに重大な影響をもっていることを上司足るものは深く認識しておかなくてはいけないと思います。
上司と部下のかかわりの中で、部下の成長という軸を置いた場合、何が大事なのかとともに、実践的な手法が提示されている本だと思います。

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法

ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法