キャリアコンサルタント学習ノート

キャリアコンサルタントの学習記録

第7回試験結果

第7回キャリアコンサルタント試験の結果が発表されたようですね。


◎日本キャリア開発協会

◇学科試験 

申込者数 1,741名 

受験者数 1,617名

合格者数   886名 

合格率 54.8%

◇実技試験 

申込者数 1,429名 

受験者数 1,373名 

合格者数 1,024名 

合格率 74.6%


◎キャリアコンサルティング協議会

◇学科試験 

申込者数 1,134名 

受験者数 1,073名 

合格者数 575名 

合格率 53.6%

◇実技試験 

申込者数   934名 

受験者数   909名 

合格者数 636名 

合格率 70.0%


実技試験の合格率で、日本キャリア開発協会がキャリアコンサルティング協議会を上回る結果となりました。

高い合格率ですね。

試験も7回を数え、試験対策も絞られてきたのでしょうか。


学科試験の合格率は、前回よりも5パーセントほど、下がっています。

行政の動きも激しいため、出題傾向が読みづらくなっているのでしょう。


私が受験した1年前は、学科は一度で合格したけど、実技は2回目という方がちらほらいましたが、今は逆に、実技は受かったけどねー、学科がなかなか受からないという方が増えているのかも。


先日、公開された能力要件の見直しにより、今後、学科の傾向はまだまだ変わる可能性があるでしょう。

学科だけでなく、実技も厚労省が技法の調査研究を公表していることもありますし、より具体的な見立てや方策まで問われてくるようになるのかなあ。

「今後どのようにすすめていきますか?」と面談後の口頭試問での質問にも、相談者の課題をきっちりとらえて、それに即した進め方や情報提供まで答えられるかどうか。育児や介護などの両立や若年者支援などで、具体的な行政や法令、企業支援の知識を正確に話せるかどうか。


どこまで変わるのかは技能士とのすみ分けもあり、一概に言えないところですが、少なくとも、学科は回答できるレベルからひとに説明できるレベルを意識しながら学習していった方が実技でも活かせるかもしれません。


▼日本キャリア開発協会

https://www.jcda-careerex.org/result.html


▼キャリアコンサルティング協議会

https://www.career-shiken.org/result.

労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業

厚生労働省が、若者や女性、高齢者など、多様な個人属性に対応するための技法を公開しています。

取り急ぎ、共有まで。


「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」

厚生労働省からキャリアコンサルタントの能力要件の見直しについて報告書が公表されています。

 
2年目を迎えた国家資格制度に一定の成果はあると評価しつつ、人生100年時代構想、働き方改革と言った議論の流れも踏まえ、キャリアコンサルタントに期待される役割の変化が強調されています。
それを受け、「キャリアコンサルタントが期待される役割を、従来の就職支援の観点にとどまらず、一人ひとりのキャリア自立の観点から、職業生活設計の支援を行うものとして整理」されています。
 
今後、養成講習のカリキュラムの見直しが行われるとともに、求められる総時間数も140時間から150時間に増加。主に、演習時間が増えるようです。
 
拡充強化されるのは、以下4点。
 
1)企業におけるキャリア支援に実施に関する知識、技能
2)個人の生涯にわたる主体的な学び直しの促進に関する知識、技能
3)職業生涯の長期化、仕事と治療、子育て、介護と仕事の両立等の課題に対する支援に関する知識、技能
4)クライエントや相談場面の多様化への対応に関する知識、技能
 
セルフキャリアドックもその一つですが、企業内でのキャリア支援により深く関わっていくことが期待されているのですが、この期待は15、6年前からありました。ただ、当時は、早期退職などのリストラ策の補完として行われる再就職支援が実態でした。キャリア自立も、その頃から唱導されてきました。しかし、それまで当たり前だった終身雇用や年功序列からの転換を象徴する意味で使われていたのではないかと思います。
 
一方、今、言われるキャリア自立は、働き方改革人生100年、多様化など、就業環境の変化から喫緊性の高い、現実味を帯びた意味内容に変わってきているのではないかと考えます。
 
キャリアコンサルタントが期待されている企業内支援への関わりは、セルフキャリアドックにとどまらず、個人目線ではキャリア開発、企業目線では人材開発、人材育成という視点が欠かせません。また、スキル面でも、相談を中心とするカウンセリングだけでなく、グループワークを進めるためのファシリテーションコーチングなど、より幅広いスキルが求められます。
 
確かに、この報告書はキャリアコンサルタントの今後の方向性を示すものだとは思うのですが、現実的には、他のコンサルタントや講師、研修会社など、すでに様々なプレイヤーがいます。この点、ナリワイとしてキャリアコンサルタントを考えるときに大きなハードルになってきます。キャリアコンサルタントのライセンスだけで超えられるものではありません。
 
キャリアコンサルタント一人ひとり、それぞれに、自分自身の強みを見つける必要がありそうです。
 

これから面接実技試験を受ける方へ

先週の土曜からこのブログの閲覧数が伸びています。

日曜は、第7回の学科、論述試験だったのですね。

特に、論述について書いた記事の閲覧が圧倒的に伸びています。

つい、先日は、試験機関について書いた記事がトップだったのですが。


今日、試験問題と共に学科の解答もアップされていましたね。

少しでも、このブログの過去記事がお役に立っていることを願いつつ。


学科と実技同時受験の方は、今週末、来週末の面接実技試験に余念がないと思います。


学科、論述の手応えがあまり感じられなかったという方は、過ぎたことは過ぎたこととして、控えている面接実技試験に集中することをおすすめします。

実技は、論述と面接と合わせて合否が決まります。仮に論述の点数に自信がなくても、面接で稼げばいいのです。

ここに来て、失敗したこと、できなかったことばかりに頭をいっぱいにしても、それは逃げ口上にしかなりません。

それよりは、これから受験する試験に意識を向けて取り組んだ方が合格の確率は、格段に上がります。


経験上、面接は直前でも飛躍的に点数を伸ばせます。何故なら、知識の積み上げではないからです。その場で、クライアント役の話をしっかり聴くこと、そのクライアントのために自分は何ができるかを口頭試問でしっかり伝えること。極論言えば、それができれば、点数は取れます。


受験生の方へ、ご健闘をお祈りいたします。

年功序列、終身雇用の終わり

「キャリアコンサルティング」(丸山)は、年功序列、終身雇用を特徴とする人事制度が転換される最中に書かれた本。企業と働き手の関係の変質が鮮明にクローズアップされた時期に書かれたものです。

年功序列、終身雇用からの転換は、キャリアコンサルタントの教科書でも随所に目にします。キャリア自律、エンプロイアビリティといった言葉は、転換後の雇用の方向性を示すもの。一つの会社で勤めあげるのが終身雇用、年功序列が当たり前だったころの常識であり、転換後の現在は、それが当たり前ではないのが常識です。キャリアコンサルティングに期待されるのは、個人のキャリア自律を支える、エンプロイアビリティの向上を支援すること。それは90年代から現在まで、様々に議論されて来ている大きな流れなのです。


この、年功序列、終身雇用の終わりはとても影響範囲が広い。

「フィードバック入門」(中原)は、人材育成のフィールドで、その影響に触れています。

OJTのような現場を中心とする人材育成のフィールドでは、今、ひとが育たなくなっている。それはなぜか? かつては特に人材育成ということを気にする必要はなく、勤続年数と社員の成長は比例していた(と考えられていた)。

こういう問いは、世代論でよく説明されたりしました。昔の人間のほうがよく働いた、やる気が高かった、覇気があった、とか、なんとか。今はあまり口にする人の方が少ないと思われますが。働き方改革、ハラスメントなど、かつての世代の常識がひっくり返される現在ですから。

中原によれば、かつて人材育成があまりクローズアップされる必要がなかったのは、年功序列、終身雇用が当たり前だったから。端的にまとめると、部下が上司の背中を見ていればよかった。上司のやり方を身につければ、自分も家が買え、車が買えた。

今はそうはいきません。

なんだったら、上司がエクセルの行列も理解していないのに、部下がマクロを使いこなしている、統計も使える。

上司に求められることも変わっていて、単に、自分のやり方や経験で部下を指導、育成できなくなっている。

中原はかつてコーチングが管理職研修として流行ったことにも触れています。どうもコーチングの取り入れ方がまずかったのではないか? 部下に気づかせることが大事だと思い込んでしまった、それにより、部下に不味い点を指摘しない上司が増えたんではないか?

指摘すべきことは指摘して、部下の課題を明確にし、それをいっしょに解決する手法がフィードバックということなのですが、フィードバックという手法が目指すところも、自律的人材の育成です。でなければ、わざわざ年功序列や終身雇用に触れる必要もありません。

一方、上司の立場に目を向けると、上司は自分の経験だけに頼れなくなっている。それを客観的に整理し、自分自身を振り返ることも求められている。こうしたサポートもキャリコンがアプローチしていくところかと。





組織論を学び直す

合格体験記を書くにあたり、やや袋小路に入り込んでいます。

どんな袋小路かというと、そもそもキャリアコンサルタントって何? という問い。

「キャリアコンサルティング」(丸山)をブックオフで見つけました。15年ほど前の本ですが、興味深く読みました。

当時の企業人事の動向や今に続くキャリコン制度の議論、また、著者はリクルート出身者のため、GCDFを中心としたキャリコンのプロセスなど、今に至るキャリアコンサルティングがどのようなところから始まったのかをうかがい知ることができる。また、JCDAとの違いであったり、私自身が割と当時から人事周りの仕事をしていたこともあって懐かしさを感じるところもありました。

ただ、この本の著者が大きなテーマにしているのは、企業と働き手の関わり方です。このテーマは今の働き方改革にも通じるものです。企業内キャリコンの可能性がこの本で模索されていることに思い至り、今のセルフキャリアドックなど企業内キャリア支援に俄然興味が湧いてきました。

これをきっかけに、今は経営組織論や産業・組織心理学の復習を始めました。

企業内キャリア支援を考えるとき、個人に焦点を当てるだけではなく、組織についての理解や組織と個人との関わり方への目配りも必要です。経営組織論や組織行動論、産業・組織心理学と呼び名は違えど、このあたりの分野が企業内キャリア支援を考えていくのには欠かせないですから。

また、マネージャーという立場からも、この分野の学び直しは大事だなと痛感していることもあるんですが。


で、冒頭のキャリアコンサルタントとは?というところに戻るのですが、養成講座でも、キャリア教育や就労支援、キャリア発達など学習します。キャリアコンサルタントの活動領域を一渡り知識はもったというところですが、知ることと自分がどの領域で活動していくのとは別ですね。実際に、いろんなところで活躍されているキャリコンの方々を見ると、キャリコンとは?という問いには、キャリコン一人ひとりの答えがあるというのが現実的なのかもしれません。

面談スキルはキャリコンにとってベースとなるスキルだと思いますが、実際に職業相談をやっていないキャリコンもいるはずだし、いてもいいと思います。

こういう視点からキャリコンの活動の可能性を考えていきたいですね。