試験機関が2つあることは受験生には有利です
試験機関の選び方について、前回書きましたが、同じ国家資格試験でダブルスタンダードはおかしいと考える方もいらっしゃるようです。
私はダブルスタンダードで何が悪いのかと思っています。
むしろ、受験生に選択が与えられていることはいいことじゃないかと考えます。ファイナンシャルプランニング技能士も試験機関は2つありますし、選べるということは受験生にとっては有利な面もあるからです。
逆に、ダブルスタンダードに異議を唱えるのは養成講座や試験対策を提供する側にとって面倒だというなら話はわかります。ただ、それは受験生に配慮した話ではありません。
なぜ、ダブルスタンダードなのかは、キャリアコンサルティングがまだまだ日本では発展途上で、しっかりと根付いていないからだと思います。
アメリカでは修士レベルのキャリアカウンセラーですが、日本では修士卒という条件はなく、かつ、これまで民間資格だったのです。十いくつ以上の民間の養成機関が、それぞれにキャリアカウンセラーを養成してきたという経緯を考えると、それを統一した基準にしようとすることはとても難しいことだと思います。
現在、活躍されているキャリアコンサルタントの方たちがいかに多様な活躍をされていらっしゃるかを考えて見ても、試験にもこの多様性は反映されているのが理想です。
もちろん、国家資格としての統一性は、資格登録者の品質という点ではとても大事なことですが、それが担保されていることを国が認めている以上、合格率の違いうんぬんで試験機関が2つあるのはおかしいというのは筋が違います。
むしろ、試験機関には採点の考え方を公表するなど、その特色を明確にしていただき、受験生が選択するにあたっての情報を提供していただくほうが良いと考えます。
私も協議会で受けていれば不合格だったかもしれません。
ただ、そんなこと、知ったこっちゃないです。仮定でしかないですから。
むしろ、協議会で受けるなら、協議会に合わせた対策をとったとは思います。
養成講座や試験対策講座の提供者側が、自分のところの対応の不手際を受験生側に押しつけていると感じることが最近あって、こんな記事を書いてしまいました。
受験生は仕事や家庭のことなど、それでも日常抱えながら、合格目指して頑張っているんです。
養成講座や試験対策講座を提供する方たちには、そうした受験生の状況にも配慮していただきたいです。
合格を謳うなら、そのための情報提供にしっかりつとめていただきたい。
少なくとも、受験生を惑わせるようなことはしないでほしいです。
今回、キャリアコンサルタント試験を体験して、最大の不満を書かせてもらいました。
受験生の方へのアドバイスとしては、養成講座や試験対策講座選びは慎重に、ということになります。
この点、記事をあらためて書きますね。
キャリコン 試験機関の選択について
昨日、キャリアコンサルタントの登録申請、JCDAへの入会手続きを行いました。
登録申請は、ウェブでの登録の後、書類を送る必要があります。どちらも時間がかかるようなので、正式にキャリアコンサルタントを名乗ることができるのは、しばらく先になりそうです。
さて、キャリアコンサルタント試験について、自分の体験談を記事にしておこうと思います。これからこの試験を受験しようとされている方に、少しでも参考にしていただければ幸いです。
で、先ずのトピックスは、試験機関の選び方です。
以前にも、このトピックスは書きました。
(参考/2017/03/20/JCDAか?それとも協議会か?)
このときは受験前のものでしたが、受験の経験も踏まえ、書いておこうと思います。
JCDAか、キャリアコンサルタント協議会か、どちらの試験機関を選ぶのかは、この試験に臨むにあたって、非常に重要な選択です。実技対策の立て方が変わってくるからです。
この点、養成機関側でも、現時点では混乱されてるんではないかと感じます。
試験機関によって評価項目が違うのですが、私が受けた実技対策では表現が違うだけ、評価されるポイントは一緒だと説明を受けました。技能検定2級との比較で、そういう説明を受けました。
私はJCDAで今回受けましたが、他の方の状況を聞くと、どうも両者の評価には違いがあるように感じます。
確かに、制度上のコンセプトは表現が違うだけなのかもしれませんが、実際、その場で評価する試験官の考えにもよるところが大きいんではないかと思います。
試験官の方お一人おひとりがどのような方なのかは私もわかりませんが、JCDAで言えば、これまでも過去CDA試験を実施してきた経緯があります。JCDAはJCDAの考えがあり、受験生の評価体系もこれまで資格認定を行なってきたなかで蓄積されてきたはずです。
実技対策のとき、私が戸惑ったのは「主訴」という言葉の扱いです。ひとによって、この言葉の使い方がどうやら違うと聞いて、ちょっと驚きました。
「主訴」は、クライエントがほんとうに訴えたいことと理解していたのですが、ひとによっては、最初にクライエントが発したこと、つまり、「今日はどんな相談でいらしたんですか?」に対して、「ちょっと最近しごとのことでモヤモヤしていて、相談したくてきました」、これが「主訴」らしいのです。
私はそれは「来談目的」で「主訴」ではないと理解していたので、少し混乱したのですが、JCDAでは、はっきりと評価項目に「主訴・問題の把握」と表現されていますね。
結局、JCDAで受験する場合は、私が理解していたところで問題ないのですが、協議会では「主訴」という言葉の扱いは違うようです。
ただ、表現の扱いが違いだけで、どちらの試験機関でも、クライエントが訴えたいことをきちんと把握できているのかはしっかり見ていることは間違いないでしょうけど。
今回の試験でも、両者の実技の合格率には差が出ました。その差だけを見て、協議会の方が合格しやすいと考えてしまうのは、どうなんだろうと疑問に感じます。
JCDAでは、養成機関出身者と実務経験者でも合格率が大きく違うのも注意が必要です。
結論として、CDA養成の認定を受けた機関の養成講座を受けた方はJCDAで、それ以外の方は協議会で受けるのが良さそうだ、ということなのですが、もうちょっと、踏み込んで考えると、
・傾聴に自信があるひと→JCDA
・学科に自信があるひと→協議会
と、私は思います。
これは論述の問題を比較してると、双方の試験機関の考え方の違いがはっきりと現れていると思われるからです。
より深くクライエント理解を求めるJCDA、キャリアコンサルタントとして適切な情報提供ができるかまでを求めるのが協議会、そんな感じがします。
例えば、クライエントが話すのを促し、漏らさず聴き、しっかりと伝え返すことで、クライエントが自問自答することによって、何かに気づかせるようにすすめていくことができているかどうかを見ているのがJCDA。
一方で、育児との両立がテーマなら、会社が必ず備えておかないといけない制度が何なのか、任意の制度は何なのかを把握し、クライエントの状況を理解した上で、適切な情報提供ができるか、それを求めるのが協議会。
傾聴重視のJCDA、キャリアコンサルティングのプロセスを重視するのが協議会。
こんなイメージだと思います。
そう考えると、どちらを選ぶかによって、試験対策は、全く異なってきます。
JCDAでの受験を決めた場合、やはり、傾聴スキルをより高めることが大事になりますし、協議会の場合、相談パターンに合わせた知識の整理が必要です。
また、実務経験者にとって協議会のほうが有利なのも何となく理解できます。事例を蓄えてますもんね。それが活かせるのが協議会。逆に、JCDAではその事例があまり使えないので不利なんだと考えられます。
傾聴はどちらの試験機関を選ぼうが評価項目ではあるけれど、JCDAのほうが配点は高く、協議会は情報提供まで見てるので、JCDAほどは高くないと推測できます。
今後、対策講座も試験機関別にコースを設けることが求められます。あるいは、受験生がどちらの試験機関により適しているのかを選ぶということなのかもしれませんが。
試験対策としては、JCDAでの受験を考えているひとはとにかくロープレです。
ロープレで自分のできているところ、できていないところをしっかり把握し、とにかく傾聴スキルの向上に努める。
その際、養成講座の仲間同志だけのロープレで終わらないこと。
きちんと指導してもらえる講師や資格取得者からアドバイスを受けることが必要です。
また、ロープレの後、ちゃんと逐語録を作成すること。
ロープレはやりっぱなしではほぼ意味がありません。今回はうまくできた、できなかったと感覚だけ残ったって、次に活かせません。スキルは繰り返しできてスキル。きちんと自分のクセを細かいところまでチェックし、次はここに気をつけるということを意識しないとスキルは伸びません。そのための手段が逐語録です。
後、私がやって良かったと思うのは、逐語録を想定しながら作ることです。
クライエントがどう発言するのかまで考えて作成する必要はありますので戸惑いはありますが、自分がクライエントであったらと考えるきっかけになりました。
私はJCDA受験なので上記の内容は私の体験談です。
一方、協議会の方は、もし仮に、という前提で、私が受験するとしたらこうするだろうと思うところを書きます。
やはり、ロープレは必須だと思います。ただ、JCDAが傾聴に重点を置くのとは違い、協議会の方はやはり事例検討に重点を置いたロープレが大事だろうなと考えます。その際、学科の知識、特に、労働法や労働経済、雇用施策など、クライエントの相談内容に合わせて適切な情報が提供できるか、知識の活用に重点を置きます。
これは、今回、学科での出題傾向が変わったことも考えると、非常に効率的でもあるのです。ロープレのなかで自分の知識の定着も確かめることになりますから。なので、学科対策も一緒にやれるという利点があります。
とはいえ、クライエントの状況をきちんと把握するという意味では傾聴もおろそかにはできません。そこはしっかりやらないといけませんが、より重点を置くのは面談のプロセスです。クライエントの困り事を把握し、なにが問題なのかを整理して、それに対し対策を考えられるかどうか? 面談の進め方に注意して、より話のまとめ方、展開の仕方に気をつけます。
この場合、受講生同志での学びあいは有効でしょうね。やはり、講師や協議会で合格したひとからのアドバイスは必要だと思いますが、キャリアコンサルタント志望者の経歴は様々なので、むしろ、その方たちの経験から学ぶ意味は大きいと思います。介護の話は実際に介護を体験した話を聴くのが学びは大きいですから。迫力が違います。流行りのアクティブラーニングですね。
いかがでしょう?
少しでも参考になるところはありましたでしょうか?
どちらを選ぶのかは、やはり、自分で、なにが得意かが鍵になると思います。
学科が得意であれば協議会のほうがいいと思いますし、カウンセリングのほうが自信があるのならJCDAかと思いますが。
それでも、なかなか、自分の実力を見極めるのは難しいですよね。
私も受験申込みした後から、論述対策しながら、協議会のほうが自分は良かったんじゃないかと思ったことがありました。受けていないので何ともいえないところではありますが。
ただ、養成講座修了時に、あなたはクライエントの気持ちに寄り添っていない、質問ばかりでほんとうに聴いてもらっている感じがしないと指摘を受けました。
そんな傾聴スキルが低かった私が、JCDAで受験して合格ラインの90点を優に超える点数で実技は合格しました。
約1カ月半、とにかく傾聴スキルを伸ばすことを心がけた結果だと思います。一方、学科はギリギリでしたけど。
試験はテスト結果が出るまでは、なにが起こるかわかりません。
自分がやれることをひたむきにやる。
それが試験対策だと思います。
キャリアコンサルタント試験に役立つ本
キャリアコンサルティング試験合格に役に立った本をご紹介。
先ずは定番ですが、
この2冊は必読です。試験作成担当者のネタ本ではないかと思うくらい。
これからの試験では、次の本も外せないでしょう。
新時代のキャリアコンサルティング―キャリア理論・カウンセリング理論の現在と未来
- 作者: 労働政策研究研修機構,労働政策研究・研修機構=
- 出版社/メーカー: 労働政策研究研修機構
- 発売日: 2016/08/31
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
上記3冊は、試験に直結するものですが、いきなり読み進めようとするにはハードルがあるなあと感じる場合、キャリアコンサルタントって?というイメージがつかめる本が役に立ちます。それには次の3冊がオススメです。
宮城先生のこの本も定番ですね。
この本を読んでから、木村先生の「理論と実際」に進むのもアリです。
「再考」と書かれていますが、カウンセリングとは? キャリアカウンセリングとは?から、実践や将来ビジョンを考えるにも役立つ本です。
また、キャリア理論をどのように活用するのか、といったことも書かれているので、養成講習で学んだ知識を整理するヒントも得られるのではないかと思います。
金井壽宏先生の編著によるもので15年ほど前の本ですが、様々な論者によるキャリア論は、自分なりに理論を整理するのにとても役に立ちます。
この本で、金井先生は組織開発、トランジション(転機)についてまとめているのですが、「企業内キャリアコンサルタント」への期待が大きいことを考えると、そこにもヒントが隠れていそうです。
キャリアコンサルタントを受けてみようかと資格取得を考えている人は先ずこの本を紐解いてみるのがオススメです。
キャリアコンサルタントがどんな資格なのか、試験はどんな内容かを余さず把握できます。また、現役コンサルタントのレポートは、イメージを膨らませるのに非常に有益です。
試験の内容に合わせて、情報源(厚労省資料など)が掲載されているのも便利。
キャリアコンサルタントもそうですし、他の資格でもそうですが、この資格をとってどんな仕事をやっていくのか、具体的なイメージを持っておくことは、学習の支えになります。その資格を取得した方たちの語りは、イメージを膨らませるための題材になります。
キャリコンの力 キャリア・コンサルタントの人間力と能力 (Parade books)
- 作者: キャリア・アソシエイツ
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キャリアカウンセリングとメンタル 心に不安を抱える人へのサポート力向上に (Parade books)
- 作者: 松尾一廣
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私の場合、松尾さんから影響を受け、自分なりのキャリアコンサルタントのイメージを模索している最中ですが、キャリアコンサルタントって、こんな仕事もするんですね、ということが上記2冊でよく分かります。仕事はお客さん=クライエントがいらっしゃってこそやれる、キャリアコンサルタントだからできるということではないんですね。松尾さんは、目の前のクライエントの問題を解決することを一心に学びを続け、仕事の幅を広げていらっしゃいます。
キャリアコンサルタント試験での実技に役立つ本をいくつか挙げておきます。
傾聴に関する本では、この2冊が定番だと思います。
古宮さんの傾聴に関する本は何冊かありますが、私はこの本が説明が一番シンプルで、またワークブックにもなっているという意味で、とてもいい本だと思います。
東山さんの「聞く技術」も非常に参考になります。
40年近く前の本ですが、有名な「コーヒーカップ方式」はこの本に書かれています。
ここまでは結構、キャリアコンサルタントに関する他のブログでも重複している本が多いと思います。
次の2冊は、あんまり見かけないと思いますが、実は一番学科でも実技でも応用がきく本です。
アドラー本は色々と発刊されていますが、それらの大半は、アドラーを引用しながら自説を展開しているものが多いと私は思っています。もちろん、向後先生の「幸せな劣等感」のように例外もあるのですが、読んでいるとアドラーが言っていることなのか、著者が言っているのかわからなくなることがあります。
アドラーの翻訳も色々ありますが、最も読みやすいのが、この本です。
アドラーがなぜ、応用が効くかというと、キャリア理論でもカウンセリング理論でも、アドラーが言っていることに近いものが多いからです。私は、アドラーを読むことで、いろいろな理論がアドラーに紐づけて整理できました。
河合先生は、他にも「カウンセリングの実際問題」など、カウンセリングに関する本を書かれていますが、私はその中でも、この本が一番参考になりました。簡潔な表現で書かれていますが、実技ではそれが一番役に立ちます。ただ、中身はとても深い。のっけから「他人と分かり合えるはずがない」と言い放たれるところから始まりますが、一方で、「人間は他人との共感を求めずにはいられない」とも先生は指摘します。いきなり、ポーンと投げ出された気分になります。そこにこの本の奥深さがあります。理屈では理解できないところがあります。でも、ひとの心理って理屈じゃないですもんね。
参考にしていただければ幸いです。
目力、顔、姿勢は大事
しぐさのコミュニケーション―人は親しみをどう伝えあうか (セレクション社会心理学)
- 作者: 大坊郁夫
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合格通知が届きました‼️
本日、合格通知が届きました。
私は仕事のため、家族に写メで送ってもらいました。
結果通知書、合格証書、セットなんですね。
密着はがきです。
結果は、
●学科は、すでに解答から予測していたとおり、合格点ギリギリ
●実技は、論述8割、面接7割
実技は、主訴・問題の把握、具体的展開、傾聴、振り返り、将来展望それぞれに判定はつくのですが、点数は表記されないんですね。
なんとか、合格できました。
キャリアコンサルタント試験結果
今朝、第4回試験結果が発表されました。
受験番号ありました、学科、実技とも。
くわしくは合格通知を確認してみないとというところではありますが、取り急ぎ、番号あってよかった。
ただ、大方の予想通り、今回、学科の合格率が大きく下がりました。
今回、行政に絡んだ問題が大幅に増えました。他にも、養成講習のテキストだけでは解答できない問題も多かった。
でも、ここまで下がりますかね〜? というくらい、下がりました。
あと、実技は、前回縮まったJCDAとキャリ協の差がまた拡がりました。
学科は、実技は、いったい何点とれたんだ?というところが気になります。